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「何読んでるの?」と聞かないで

おもしろい本と出会うことが私の生きる目的である

おもしろい。『本質を見通す100の講義』森博嗣

モノの見方

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寸評:安定の森博嗣。淡々と効率よく面白さを摂取できる。

 

ファンというのは盲目的である。そしてそれを排除してファンである作家の作品を評価することはかなり難しいし、そもそも好きな作家の作品に厳しい意見なんぞ持ちたくなかったりする。

ということで、極度の森博嗣ファンである私は彼の著作に対してかなり寛容的である。

シリーズの4作目

今作はシリーズの4作目ということなのだが、あまりその意味はない。

『本質を見通す100の講義』という仰々しいタイトルは付けられているものの、別に森博嗣はそんなテーマとは関係なしに日々の中で思ったことや時事ネタへのツッコミが書かれている。

この『100の講義』シリーズはどれもそんな感じなので、どれから読んでも問題ない。

そしてどれもクオリティがまったく同じという他ではあまりみないタイプの作品である。

私のイメージでしかないが、シリーズものというのは大概、数を重ねるごとに質が落ちていくものだという認識がある。

ちょっと紹介

本作のエッセンスを感じさせる一部を紹介しよう。

 

格差社会が問題になっているが、資本が目指すものは格差なのでは?

貧乏で苦しんでいる人だって、宝くじを買ったりしている。一攫千金を夢見ている。それは、自分だけが周囲よりも金持ちになるのが夢なのでは?宝くじを当てて、その金を近所や知り合いで分け合おうと考えて買っている人がいるだろうか?

そもそも、資本主義社会を牽引したエネルギィは、金を儲けたいという欲望であって、それは、自分と貧乏人の格差を広げたい、という「夢」なのだ。金持ちになってもフェラーリを買っても、見せびらかす相手がいなかったら意味がない。周りのみんながフェラーリを持っていては困る。それでは、欲求が解消されない。

こんな感じのことが100個も語られている。中には「それはちょっと違うだろう」と思わせるものもあるが、基本的には森博嗣のその偏見がない平らで純粋な視線に驚きや、襟を正したくなるような気持ちなるものばかりである。森博嗣作品を読む楽しみというのはそこにあると私は思っている。

モノの見方のラッシュ 

森博嗣の目を通して見たこの世界は、かなり単純化されているようで、私が世界に対して感じている印象(曖昧模糊としてどうにもならない問題ばかり)とはまるで違うようである。

だからこそ彼の、構造やストーリー(歴史)を理解した上で語られるさまざまな事象への語りは、読む人に快感をもたらすのだろう。

オピニオン的な「俺の価値観を聞け!」とは別次元のものであるように思う。事象を観察し、特徴を捉え、「じゃあこうだよね」と答えを提示されている感じだ。これはかなり気持ちいい。

すべての話題が2ページでコンスタントに語られるので、読んでいてリズムもよく、非常によくまとめられていて、読むのに時間も取られない。

とまあこんな感じでべた褒めに近い感想なのだが、もう一度書くが、私は極度の森博嗣ファンなので、客観的に彼の作品を評価することはもうできない気がするし、そもそもそんなことはしたくない。

ただこの作品の魅力を確かめたいのであれば、立ち読みで数ページを見るだけで分かるはずだ。そのときに感じた印象以上のものは最後までないし、それ以下のものもないからだ。

 

本質を見通す100の講義 (だいわ文庫 G 257-4)

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